近現代アートの楽しみ方の達人
新家靖之(しんかやすゆき)さん
(社)日本旅行作家協会会員

1946年生、メーカーの管理部門に勤めながらも、毎年、長期休暇をとって好きな近代・現代絵画や建物をテーマに個人旅行を実践。アメリカ、ヨーロッパ、アジアの近代・現代絵画、建物などテリトリーは世界中に及ぶ。2007年12月の定年を機に、世界中の近代・現在アートの楽しみ方や素晴らしさを同じ熟年世代に伝えたいとの思いから「地球の歩き方 旅の達人(旅のコンサルタント)」に応募、2008年2月より「近現代アートの楽しみ方の達人」として活動を開始した。
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    イスタンブ−ルからロ−マへの21日間の旅(イスタンブ−ル2)

    イスタンブールは巨大な都市です。その為、地下鉄、トラム、バスを含む交通網が、かなり整備されています。この町の観光は、その交通機関を上手く利用する事でより充実したものになります。料金の支払いは、従来は、鍵型のアクビルというプリペイド切符が、主流でしたが、最近はクレジットカード形式の電子チケットが多く使われています。地下鉄、トラムやバス等の公共交通機関に利用が可能です。到着した日に空港で購入し、早速、ホテルまでの地下鉄とトラムで利用しました。

    私は、町を歩くことが好きです。町をなるべく歩く事、交通公共機関を利用する事で、町の佇まいに浸ると元気がでます。

    2日目は、新市街にあるガラダ塔にいく事にしました。私のホテルは、旧市街にあります。旧市街から金角湾にかかるガラダ橋を渡った新市街の高台にその塔はあります。トラム1号線で塔の近くまで行けますが、途中の観光を兼ねて徒歩でいく事にしました。

    トラムの通る道に沿ってガラダ橋を目指します。道の両側には、観光客目当てのお土産屋やレストランがびっしりと続いています。早朝にも関わらず多くの国の人が行きかいます。道は、かなり蛇行を繰り返し金角湾に緩やかに下ります。

    右手に駅舎が見えます。シルケジ駅です。初めは、オリエント急行の終着駅として完成しました。現在は、国際列車、国内列車、近郊列車が発着する駅です。道沿いの駅舎正面は、新しい作りになっていますが、駅舎の横手に回ると、旧駅舎があります。歴史を感じさせるレンガ造りの旧駅舎は保存されレストランや博物館として使用されています。壁面には、オリエントエクスプレスの文字盤があります。アガサ・クリスティーの推理小説で有名ですが、彼女もこの駅を利用しています。イスタンブールは、東洋と西洋の交差点ですが、同時に歴史の交差点でもあると感じます。

    ガラダ橋の周辺は、アジア側にいくフェリーの船着場がたくさんあります。又、金角湾やボスボラス海峡の観光船の発着場が随所にあります。道路には観光船のツアー客を呼込む人が多くいて、道行く観光客に纏わり付きます。日本語で話しかける者も多くいます。猥雑な、しかし、懐かしい観光地の雰囲気です。潮の香りがします。今日の目的地のガラダ塔の鉛筆のような尖塔が対岸に見えます。

    ガラダ橋は、トラムの線路が中央に走り、歩道と車道を持った大きな橋です。歩道から階段を下りると、橋の下は、レストラン街になっておりトルコ料理の海の幸を調理して出す店が沢山並んでいます。歩道には、ずらりと釣り人が並び魚を釣っています。バケツの中を覗き込むと沢山の小魚が入っています。どうも、店に卸して商売にしているようです。 

    橋を渡り終えると新市街です。ガラダ塔に行くには、かなりの坂を登る必要がありますが、それを避けるためにカラキョイ駅からベイオル駅を結ぶ一区間だけの世界で一番短い地下鉄に乗る事にしました。開業は古く1874年開業です。ホームまで地下道を歩いていきます。ホームの壁面は、素敵なモザイク模様の装飾がされています。赤を基調にしたシンプルなデザインの小さな車両は、ロープで牽引され動きます。地下鉄というよりトンネルを走るケーブルカーのような感じです。1分半の車両の旅です。ベイオル駅を降り、坂を少し下るとガラダ塔に到着します。

    ガラタ塔(トルコ語: Galata Kulesi)は、カラキョイ地区にある円形の9階立ての石造りの塔です。高さは66.9メートルとそう高くないですが、元々、灯台の役割として建てられた為、見晴らしのいい高台の海を見下ろす丘の上にあり、イスタンブールの街を一望できます。その為、人気の観光名所となっています。エレベーターで途中まで登り、其の後、急勾配の階段を上ります。金角湾そして、先ほど渡ったガラダ橋、その向こうにボスボラス海峡、金角湾とボスボラス海峡の接点に昨日行ったトプカプ宮殿、海峡の向こうにアジア側が見えます。少し目を転じれば、旧市街のモスクの尖塔、そしてかなたにはローマの水道橋、町を囲むかのようなシルエットが素敵です。反対側に回れば、新市街がどこまでも広がります。世界の交差点イスタンブールの5月末の風はさわやかです。

    アメリカ、アジア、ヨーロッパ、多くのタワーや建物に登ってきました。しかし、この爽やかさはありません。ガラスや網越しでなく自然のままに360度の展望が見えるこの塔を貴重に感じました。

    塔を下り、石畳の坂道を下ります。小学生の一団が坂道を登ってきます。道は、微妙な曲線を描きながら、多くの道と交差し下っていきます。方向感覚が分からなくなります。大きな橋が見えてきました。やっとガラダ橋に到着した。しかし、メトロが走っていません。橋の釣り人はいますが、まばらです。地図を広げて確認します。どうも、ガラダ橋の一つ上流の橋のようです。「まあ、いいか。」対岸からバスに乗れば、ガラダ橋周辺に行くだろう。橋を渡りバス停を探します。このようにして旅は続きます。

     


     シジカル駅旧駅舎


     釣られた魚 ガラダ橋にて


    世界一距離の短い地下鉄Tunel


    ガラダ塔



    ボスボラス海峡よりアジア側を望む



    金角湾とガラダ橋そして旧市街



    塔から見る




    さようなら ガラダ塔