神の住む町 石川県鳳珠郡能登町への旅
オープンガーデン・能登キリシマツツジ巡りと古代のロマン
2015年5月10日、私が代表世話人を努める日本旅行作家協会の「日本グループ」は、石川県鳳珠郡能登町への旅を行いました。
能登町は、能登半島の先端に近い山と内海に囲まれた風光明媚な町です。近隣には、輪島市があり日本海の外海とも近く能登半島をめぐる観光の拠点として近年注目されています。
この旅は、のとキリシマツツジ(以下ツツジ)を大切に保護育成する団体「NPO法人のとキリシマツツジの郷」の協力により実現しました。これまでに全国でツツジに関するシンポジウムや全国キリシマツツジサミットを開催しています。今年は東京の六義園でツツジの展示会を実施しました。
旅は、東京羽田空港から1時間「のと里山空港」から始まりました。空港には、NHK朝ドラの「まれ」が出迎えてくれます。更に、来日外国人と思われるグループがサイクリングで出かける光景に出くわしました。能登半島は、冬の暗いイメージを持ちがちですが。その印象を感じさせない明るい初夏ともいえる日差しが私達を包みます。
1、のとキリシマツツジに魅せられて
能登には三つの朱があると言われます。その一つがこのツツジの花の深紅です。能登地域に個人宅を中心に、樹齢一〇〇年以上の古木が五〇〇個以上分布しています。毎年4月下旬から5月中旬の開花時期に合わせ60ヶ所で「オープンガーデン」が開催されます。いずれも見ごたえあるものばかりですが、今回は、選りすぐりの銘木を持つ5軒のお宅を訪問しました。芦田さん、池上さん、桜井さん、水木さん、酒井さん宅です。
旅は2日間かけバスで個人宅を巡りました。先々で、ツツジの朱色の美しさと背丈以上の株の高さと大きさに驚き、それを保護する為の冬の雪の対策や夏場の水やりの苦労をお伺いし、先祖代々に渡り世話をする努力に敬服もしました。
道中での大路副理事長と政田事務局長からお聞きするツツジに関する説明は、訪問先のツツジ一本一本が、わが子であるような話し方でツツジにかける情熱を感じました。
朱色のツツジは、多くの人を虜ににしながら、毎年、この能登の地で咲いているのです。
2、ユネスコ無形文化遺産あえのこと神事
田の神様を敬い五穀豊穣に感謝する神事「あえのこと」が行われる合鹿庵を訪れました。この行事は、12月と2月の冬場に各家庭で脈々と受け継がれてきました。私達は、藁葺屋根の家の玄関口で紋付き袴の主人に出迎えられます。座敷には、能登の豊かな海と山の幸が供えられ田の神様を御迎えする神事が始まります。玄関から神様は主人に迎えられお風呂に入り食事をします。心優しい能登の人の神事です。能登の神様は幸せです。
3、能登のストーンヘンジ 真脇遺跡
休館日にも関わらず真脇遺跡縄文館を開館下さり、土器をはじめとする縄文時代の豊かな遺物を見学させて頂きました。そして、この場所での重要な遺跡、環状木柱列に向かいます。広大な野原、歩む彼方に奇妙な柱が見えます。近づくにつれその大きさに驚きます。10本の巨大な木柱が円形に聳え建っています。イギリスのストーンヘンジに似た構造です。説明では、直径1mの栗の木を半割したとの事、どのような目的で建てられたのかは諸説あるとの事です。木柱で囲まれた空間は霊気が立ちこめる神妙な雰囲気を感じます。円形の上にはどこまでも青い空が広がり太古の世界に誘われます。
4、旅の醍醐味 地元の方との交流
・夕食の宴
赤いブレザーの宮本理事長のユーモラスな語りのご挨拶から始まり、町議の方を交えた賑々しい宴となりました。自己紹介を交えながらの楽しい時間を過ごしました。
・おおとり会訪問
社会福祉法人おおとり会は能登町にある知的障害者施設です。皆さん、元気な声で私達を迎えてくれました。心温まる交流の場となりました。
・旅の最後の意見交換会
地元の方々との意見交換会を実施致しました。高副町長、鍛冶谷議長、本間観光協会名誉会長にも出席頂きNPOの関係者と私達の意見交換会は、辛口な意見もありながらも終始和やかなものでした。
今回の旅では、多くのお宅へ伺いました。そこには、豊かに生きる生活がありました。そして、とにかく明るい土地、能登のイメージです。2日間とは思えない充実した旅になりました。最後にこの旅の企画実行の責任者 能登町の五田課長補佐に心からの御礼を申し上げます。
来年の3月には調布市深大寺の神代植物園でのとキリシマツツジの展示会が開催されます。能登町の方との再会が楽しみです。