2014/03/21

 

近現代アートの楽しみ方の達人
新家靖之(しんかやすゆき)さん
(社)日本旅行作家協会会員

1946年生、メーカーの管理部門に勤めながらも、毎年、長期休暇をとって好きな近代・現代絵画や建物をテーマに個人旅行を実践。アメリカ、ヨーロッパ、アジアの近代・現代絵画、建物などテリトリーは世界中に及ぶ。2007年12月の定年を機に、世界中の近代・現在アートの楽しみ方や素晴らしさを同じ熟年世代に伝えたいとの思いから「地球の歩き方 旅の達人(旅のコンサルタント)」に応募、2008年2月より「近現代アートの楽しみ方の達人」として活動を開始した。
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    ネパールのKAZE(その1 不思議な出会い

    不思議な出会いから、ネパールに行くことになりました。私の旅は、世界遺産や自然の景観を楽しむ旅ではありません。その国の文化を含めた美術を鑑賞する旅が好きです。更には、そこで、出会う人との交流に心が躍ります。

    私の住むマンションの上の階の人が、旅行者の社長をしています。しかし、最近まで顔を会わせても簡単な挨拶するぐらいの付き合いでした。

    2012年の東京ビックサイトで日本旅行業協会が毎年主催する旅博で顔を会わせました。彼は、旅博の責任者、私は旅行作家に変身して!

    彼から誘いがありました。「私も同行しますので、ネパールに行きませんか」この歳でネパールのトレッキング?「現地のカトマンズの支店が、ホテルをオープンします。そのオープニングを兼ねてパーティーをします。近隣の国の関係者も来ます。ツアーの参加者には、旅行業界の方も多く楽しい旅になりますよ」

      一行15名中、旅行関係者が3分の1を占めるツアーがスタートした。最高年齢80歳、旅行業界では有名な人です。2014年2月23日、羽田を早朝に発った飛行機は、香港を目指します。香港からは、バングラデシュのダッカを経由しカトマンズに行きます。帰りは、カトマンズから香港に戻ります。香港、ダッカ、カトマンズをグルグル回り、乗客を降ろしては、乗せます。ダッカで多くの人が降り、そして、新たな人が乗り込みます。飛行機の山手線のようなものです。カトマンズに現地時間で夜中に到着、日本との時差は、3時間15分です。半端な時差です。聞くところによるとインドの標準時間と同じにはしたくないとの理由からです。両国の関係が垣間見れます。

    一先ずホテルに向かいます。カトマンズの気候は、亜熱帯に属します。しかし、標高が1400Mと高いため、涼しく、年間を通じて過ごしやすい気候です。その為、ネパール中から人が流入し町は郊外に大きく広がっていっています。2月のネパールは乾期です。電源は水力発電、爆発する人口と相まって、電力が足りません。計画停電が実施され多くの区域が停電を余儀なくされています。暗い街中、私達を乗せたバスが曲がりくねった道をかなりのスピードで走ります。そして、風バザールと表記された、細い路地に入り込みます。その突き当りにホテルがあります。ホテルは、自家発電で明かりがついています。元王族の邸宅を改築したというホテルは、暗闇の中に赤いレンガ造りの壁面が印象的です。

    早朝、鳥のさえずりが部屋に響きます。ドアを開けて中庭に出ます。今日は、ホテルのオープニングの日です。さわやかな早朝、中庭を取りまく建物、その上に青空が広がります。建物の白い壁、柱やドアの濃茶、中庭のレンガのバランスがシックな雰囲気を醸し出しています。

    庭の一隅で2人の男性が、オープニングの儀式のための準備をしています。白、赤、黄色の粉で矢印が中庭のレンガに描かれ、4面を笹で覆われた空間に誘います。空間の中央には、木材が井桁に組まれています。ヒンズー教の儀式との事です。

    朝食の後、ホテルのオープニングの儀式に参加します。一同は、赤い布が被せられた椅子に腰を掛けて興味津々儀式を凝視します。井桁に組まれた材木に火がつけられています。ヒンズー教の僧侶が、古代ヒンズー語の呪文を唱えながら経文が書かれた紙を燃やします。密教の護摩壇の儀式を連想させます。昨夜から泊まっている多くの関係者もこの儀式に参加しています。ブータン、インド、タイ、バングラデシュそしてネパール。ネパールの旅の始まりです。

     


    ホテル外観


    オープニングの儀式

    儀式の矢印


    ホテルの中庭


    儀式の参加者

    ブータン、タイ、インドの関係者